今回はスペシャリティーファーマについて書いていきます。
スペシャリティーファーマというのは特定の領域に特化している製薬会社のことです。
例を挙げると、眼科領域に強い参天製薬、糖尿病領域に強いノボノルディスクファーマ、皮膚科領域に強いマルホなどです。
そのほかにもスペシャリティファーマはいくつか存在します。
Contents
1.なぜ特定の領域に特化させるのか
薬の開発には莫大な費用と時間がかかります。
また途中まで、開発が順調に進んだとしても有効なデータが得られなかったりすると開発中止になってしまい新薬として発売されないなんてこともよくあります。
従って、一つ目の理由はたくさんの領域の薬を開発することが物理的に難しいからです。
他に手が回らないのです。
さらに資金的にも厳しいという事情もあります。
製薬業界ではそれぞれの会社で強い領域、力を入れている領域というものがあり、その領域での薬の開発に専念します。
だから製薬会社はたくさんあります。
製品の数が多い大手の製薬会社でも全く取り扱っていない領域もあります。
大手が力を入れる領域は患者数が多い領域と市場が大きい領域です。
簡単に言ってしまうと爆発的に売れる市場ということですね。
これにプラスしていくつかの領域の薬を開発しています。(全部が全部売れる領域の薬というわけではありません。)
また領域別MRのように同じ会社にいても扱う製品が違うケースもあります。
(外資系製薬会社に多いですね)
もちろん僕のように会社の製品を全て扱う会社もあります。
全て扱うと言っても製品数が少ないので領域は絞られています。
従って、十分対応できます。
これが二つ目の理由です。
MRのキャパシティが足りないからです。
仮に領域が多すぎるとその分知識が必要になりますのでMRのキャパオーバーになってしまいます。
さらに医療機関も基本的には疾患別に見ていますので、いろんな領域の薬があると訪問するだけで膨大な量になってしまいます。
領域を特化させていれば一回で多くの製品についての情報提供をすることができるので無駄が少ないです。
また、領域毎に求められる薬は違いますし、重要視されるポイントも異なります。
それぞれの製薬会社では長年の経験によって培われた開発力がありますのでこの領域に参入してもあの製薬会社には及ばないということも影響しています。
開発力がなければ新薬は創薬できないです。
いろんな要素が影響して自然と領域毎の製薬会社の住み分けが確立されたのでしょう。
僕の勝手な推測ですけどね。
2.スペシャリーファーマこそ戦略的かつニーズが高いと思います
スペシャリティーファーマと言っても結構差があります。
特化しているレベルが異なります。
その領域の市場のシェアをほとんど占めている会社もあれば、そうでない会社もあります。
また製品ラインナップの数もその疾患を幅広く網羅している会社もあれば、その領域の中でも特定の疾患の薬剤しかない会社もあります。
それでは、スペシャリティーファーマの利点を解説していきます
スペシャリティファーマの利点
- ターゲット施設が絞られる
- 知識を幅広く活かせる
- 転勤した際もスムーズに仕事ができる
- どんな知識を身につければいいのかも明確
- 1施設あたりの売り上げが大きい
2-1.ターゲット施設が絞られる
ターゲットとなる施設が自動的に絞られます。
対象となる施設が多い薬剤は適切なターゲットを絞る必要がありますが、スペシャリティーファーマの場合はこれがほとんど必要ありません。
専門医しかターゲットにならないので基本的に〇〇と名がつく施設には行くといった感じですね。
余計なことを考えずにMR活動に専念できます。
2-2.知識を幅広く活かせる
同じ診療科にしか行かないので、専門的な知識をかなり活かすことができます。
そして継続的にその領域の薬が発売されるので、その領域の知識を順次アップデートしていけば知識面は十分です。
勉強したのにその領域の製品がこれから出ないといったような無駄がないです。
もし継続的にその領域で新薬が発売されないと薬の特許はいつか切れるのでその製品をコールしなくなる日がきます。
その場合、知識が無駄になります。
基本的に後発品が出た薬剤をメーカーが積極的にコールすることはあまりありません。
また、先生もある程度「この領域のことはこの会社のMRに聞こうみたいな住み分け」をしています。
眼科の先生だったらまず基本的には参天製薬のMRに質問しますしね。
その道のスペシャリストになった方がMRをやっていてやりがいが大きいと思います。
2-3.転勤した際もスムーズに仕事ができる
全国転勤があることはMRが転職したい理由の上位にいつも入ります。
なぜ転勤が嫌なのかというのは色々意見が分かれますが、その理由の一つに転勤先の施設の評価があります。
その領域といえば〇〇製薬のように、先生の中では領域別に強いメーカーのイメージはある程度固まっています。
だから、スペシャリティーファーマのMRは会社のブランド力に助けられる部分が多くあります。
具体的に書くと、いろんな領域の製品を取り扱っている製薬会社のMRの場合、優秀なMRが回っていたエリアに転勤する場合はすごく仕事がしやすいのですが、適当なMRが回っていたエリアに転勤すると結構辛いです。
一方でスペシャリティーファーマのMRならば会社の評価がそもそも高いので前任のMRの活動に依存することなく仕事を開始することができます。
また、色んな領域の製品を取り扱っていると会社のイメージが先生の中になかなか固まりません。
どちらかというと薬の名前の方が印象に残ってしまいます。(MRの名前を残せるのが理想です。)
そうでなく領域としてのイメージが強いスペシャリティーファーマのMRは最初から得られる信頼が大きいです。
従って転勤しても同じように仕事ができるので、スペシャリティーファーマのMRは転勤しても仕事がしやすい傾向にあります。
転勤で辛いことの中には1から信頼関係を築くことも入りますので、これをカットできるスペシャリテーファーマはオススメですね。
2-4.どんな知識を身につければいいのかも明確
スペシャリティーファーマであれば身につけるべき知識も明確です。
その領域に関する知識を増やしていけばいいので参加する学会も明確になります。
英語の先生あれば英語に関する知識をどんどんアップデートしますよね。
イメージはこれと同じです。
2-5.1施設あたりの売り上げが大きい
専門医を中心に訪問するので、一施設あたりの売り上げが大きくなります。
これは効率的な活動と言えます。
10施設の合計と1施設の合計が同じならば訪問効率を考えても1施設に特化した方がいいですよね。
さらに一施設あたりの売り上げが高ければ経費もその施設に多く使えますので、よりきめ細かいフォローが可能となります。
友達関係でいえば狭く深くですね。
3.スペシャリティーファーマはすごくスマート
やることがスッキリしていてすごくスマートなイメージがスペシャリティーファーマにはあります。
スマートに仕事をすると余計なストレスもかかりませんし、余計なことも考えなくて済みます。
従ってMR活動に集中できます。
4.スペシャリティーファーマのデメリット
それはエリアが広くなることです。
施設数によりますが、どうしてもエリアは広めになります。
エリアが広くてもターゲット施設の数は多くないので移動が大変になるってことです。
もう一つは企業数が少ないことです。
本当に特化しているスペシャリティーファーマの数は少ないです。
なかなか特化して成功するというのは難しいことをこの企業数が物語っていますね。
5.この記事を作成した背景
僕が所属していた製薬会社はいろんな領域の薬を中途半端に取り扱う会社でした。
そうなるとどうしても知識の習得と訪問効率が悪くなってしまいます。
以前のMRの環境であれば知識で売るというよりは接待で売るみたいなイメージでした。
ただ、接待が厳しくなった今では知識面での貢献というのがとても大切になっています。(訪問規制も厳しい)
今のMRの環境ならば1つか2つの領域に絞りその領域のスペシャリストになった方が確実に成功します。
大学受験でも英語であれば英語専門の先生、数学であれば数学専門の先生に教えてもらった方がわかりやすいですよね。
この法則はMRの中でも同じです。
だからこの先MRとして長く勤めたいと思っている方には特定の領域に特化したMRを是非目指して欲しいと勝手に思っています。
5.まとめ
スペシャリティーファーマについて解説させて頂きました。特化させるのは大変ですが、成功すれば唯一無二の存在になりますね。最後まで読んで頂きありがとうございました。ばーい。
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