ある病院で新薬を新規採用させた際の物語-PART2-




新薬を採用させるのはとても大変なことです。採用にならなければエリアが変更にならない限りずっと追求されます。

今回の施設は僕が新薬が発売した際に一番最後に採用となった施設の話になります。

対象となる施設が少ない場合

新薬には対象となる施設が多い新薬限られた施設でしか処方されない新薬と大きく分けて2種類あります。

 

対象となる施設が多い薬は主に生活習慣病の薬です。これは数多くの施設で処方されていて対象の患者さんもとても多い薬剤です。これを扱うMRはプライマリー領域のMRと呼ばれます。

 

それに対して限られた専門施設でしか処方されない薬の代表は難病の治療薬です。これは県によってばらつきはあるものの生活習慣病の薬剤と比較すれば施設の数は圧倒的に少ないです。

 

抗がん剤を扱うオンコロジー領域のMRもこれに含まれます。従って数が少ない施設であるがゆえに追求の対象になりやすいです。対象となる施設の1つ1つの重みが違います。

 

僕はどちらの薬も扱ったことがありますが対象となる施設が多い方がやりやすいですね。

 

しかし発売された以上やりやすいとかやりにくいとか言っていられないので採用に向けて活動しました。

 

今回の話は対象となる施設が限られている製品です。

苦戦した理由

なぜ苦戦したのかいうと大きな理由は過去の自社製品の評価が低かったからです。

 

これはどんな薬にも言えることですがある施設では評価が高いがある施設では評価が低いというように先生の診療の際に重視するポイントで薬剤の評価は大きく変わります。

 

そこでいろんなデータの収集をして徐々に評価されていくわけです。最初から爆発的に売れる薬は薬はほんの一握りです。

 

様々なデータを収集して少しずつ薬の価値を上げていくのが普通です。

 

この施設には自社製品が入ってはいたのですが先生の評価が低くて今度新薬が発売されるという話をした際に「少し様子を見てからにする」と言われたのですぐには採用にならないことは発売前からわかっていました。

 

このように過去に発売した自社製品の評価が低いと新薬を発売してもすぐに採用にならないことが多いです。

 

そこでですが発売して少し経てば採用になるのかというとそんなこともなくて時間が経過してやっとスタート地点に立てるという意味です。

 

これは最初僕は意味をよく理解できていなくて時間が経っていろんな情報が出始めれば採用になるんだと思っていたわけです。

 

しかし時間が経っても採用になりそうな感じはなくて僕は徐々に状況を理解し始めました。

 

面会に行っても採用になりそうな感触はなくてとにかく製品のダメ出しばかりされていました。

 

既存品の方が使いやすいと最後にいつもまとめられてしまい今日もダメだったという日が続きました。

説明会を予約する

病院の場合この説明会の日程を頂くだけでも大変です。

 

開業医であれば先生の都合のいい日にやらせてもらえますが病院となると薬剤師、看護師、複数の先生などいろんな先生が出席されるので前もって予約しないとできません。

 

そして説明会の開催頻度も開業医と比べて少ないです。

 

説明会は新規採用させるにあたって必須の政策ではありません。面会して採用になるならば説明会を無理やりやらなくても問題はありません。

 

しかし自社製品についてまとまった時間PRすることができる説明会はやはり有効な手段です。先生が採用を決める上でのきっかけになります。

 

既存品で間に合っている以上処方してみようと思ってもなかなか採用にはなりません。そこで説明会をきっかけに採用してもらうわけですね。

説明会は効果があった

これまでの状況を整理してみます。

 

発売から少し時間が立たないと採用はしないと言われる

面会に行ってもダメ出しをされてばかりで採用になりそうもない

このままだといつまで経っても採用にならない

そこで説明会の日程を頂けないかと頼んだところ日程を頂けた

 

僕にとってこの説明会で採用にならなければもうしばらくは厳しいと判断してこの説明会に全力を注ぎました。

 

僕は説明会に関しては自信を持っていたのでこれでダメならばまた戦略を練るしかないなと思っていました。

 

先方の都合で2回に分けて説明会を実施しました。

 

説明会の途中で先生が興味深く見たデータがありました。それは効果に関してのデータでした。

 

このデータは面会中にも何回も紹介はしていましたがいつも話をそらされていたので普段の面会では先生にあまり響いていなかったんだとこの時思いました。

 

このように同じデータを紹介するにしても説明会という場で紹介するのと普段の面会で紹介するのとでは伝わり方がかなり違います。

 

そして説明会が終わりお礼を言って帰りました。少し経って無事採用となりました。長かったですね。

言い訳と理由を見抜く

今回感じたのはこの採用にならない時に先生から言われる言葉に注目すべきということです。

 

言い訳というのは採用したくないという目的でMRに言われる言葉で理由というのは先生が採用しない理由です。

 

言い訳をされている段階ではどんなデータを持っていったとしても響きません。

 

これが理由に変われば製品の特性を理解した上での理由となるので採用の可能性は高くなります。

 

これを見抜けても厳しい時は厳しいですけどね。

 

しかしたとえ厳しかったとしてもせめて相手にしてもらえるまで頑張らないといけないですね。

まとめ

今回は説明会の効果が非常にあった僕の事例を書きました。このような事例は多くあるのでまた書きたいと思います。最後までありがとうございました。ばーい。




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