【遡ること数年前】大学受験が無事終わって入学まで少しの時間がありました。僕は名探偵コナンが好きで毎日見ていました。
そこである言葉を知りました。
そして大学卒業後に営業職に就いたのですが、その「ある言葉」をふと思い出しました。
ある言葉とは何か
When you have eliminated the impossible, whatever remains, however impossible,must be the truth.
日本語に翻訳すると「不可能な物を除外していって残った物がたとえどんなに信じられなくてもそれが真相なんだ」となります。
出典:名探偵コナン、第223話より
これです。MRをしているとこの言葉が当てはまるようなことが実際におきます。
経験が浅い時はそもそも視野が狭いですからいろんなことを多角的に考えることができません。ベテランMRによると経験を積めば大抵のことは想定の範囲らしいです。
何が起きたのか
結論から言うと売り上げが落ちたのです。そこで「売り上げが落ちることなんて別に驚くことではない」と思う方が多いと思います。
営業をしていてば一施設の売り上げが落ちることはそんなに珍しいことではありません。
このケースではまず時期が最悪でかつ売り上げが落ちた理由は考えもしないことであったため僕は衝撃を受けました。落ちた量も大きかったですけどね。
時期
起きた時期ですが不運なことに期末の月でした。MRにとって期末とはいろんな意味で大変な時期で精神的にも肉体的にも疲れます。
来期の計画も期末にやらなければいけないのでこの期末はやるべきことが凄まじく多い時期です。従ってできることならなるべく仕事は減らしたいのです。
結果的に事件が起きた期というのは僕が過去一番苦戦した期であり100%達成がギリギリできるかどうかという期でした。
数字が足りなければ無理をしてでも達成しなければなりません。なぜなら連続達成がかかってましたのでここで連続達成を途切れさせるわけにはいかないというプレッシャーもかかってました。
事件が起きる前の僕の心境
事件が起きる前の数字のシミュレーションでは最悪最後に少しお願いすれば達成は硬いだろうという結果が出たので来期を見据えた活動も少ししていました。
これはある程度売り上げが上がらなかった時のことも想定していて僕の中では硬い数字でした。
だから売り上げがよければかなり余裕を持ってこの期を終了することができると思っていました。
事件が起きなれば余計な仕事をする必要はなく余裕を持って来季に望むことができました。
しかし、何が起こるかわからないのが営業です。とはいってもハードルの高い試練でしたね。
起きた事例
何が起きたかというとある施設の売り上げが7割減りました。このある施設とは僕の担当する施設の中でも特に売り上げが大きい施設です。そもそもの売り上げが多いため7割減るというのはかなりの痛手です。
僕も当然熱心に活動していましたし過去こんなに一気に売り上げが減るということは経験したことがありませんでした。
だから僕は自分がした行動と言動を細かく分析して原因を特定することに全力を注ぎました。
薬の処方量というのは普通何もなければ一気に減るということは稀です。これだけ一気に減ったということは何か問題が起きたわけです。
分析の結果一つだけ可能性がある原因を見つけました。それは併売の製品に切り替えられてしまったということです。この製品は少し厄介な製品で一物一名称の併売品でした。だから会社を変えられてしまうと僕の売り上げはゼロになってしまいます。
減った製品の特徴をまとめると
- 大きく売り上げが落ちる製品ではない
- 併売品である
この二つです。大きく売り上げが落ちないということは全国的に見ても間違いないことです。だから他剤に切り替わってしまったということは考えにくいです。
また患者さんがいなくなってしまったことも考えられます。休院や閉院または移転となれば患者さんはいなくなってしまうため当然売り上げは急激に下がります。ただこのケースは頻繁に通っていたのでありえないとすぐに判断することができました。
従って残った可能性は併売先のメーカーに切り替えられたということです。
併売先に切り替えられたことを僕は信じたくありませんでしたがこれしか考えられないので受け入れました。
ちなみに併売とは同じ製品を2社で販売することで売り上げは共有されません。売り上げが共有されるのはコ・プロモーションのことです。
また併売の中ではもの自体は同じでも名前が違うというケースもあります。僕の場合は名前も同じでものも同じ製品です。違うのはほんのわずかな部分です。ですのでほとんど見た目は同じです。
だから薬局にとってはどっちの製品だろうと大差はありません。
しかしMRからしてみれば併売先の製品を納入されてしまうと売り上げはゼロになってしまいます。
そこで基本的にはアロケーションといって併売する会社同士で施設を割り振ります。この振り分けをしているので突然併売先に変わってしまうということはほとんどありません。
ただ稀に変わってしまうことがあります。そこでどんなケースで併売先に変わってしまうのかについてご紹介します。
変わる時はこんな時
- 訪問していない
- 薬局サイドの問題
- MSサイドの問題
このケースでは併売先に変わってしまうことがあります。だから僕も併売先に変わらないように薬局にも力を入れて訪問していました。
この中で今回のケースに当てはまりそうなのはMSサイドの問題だと判断しました。
僕がMSに対して怒らせるような何かをしてしまったのかをじっくり考えてみましたが、心当たりが一つだけありました。
それは上司がとあるお願いをMSにしたことです。
あるお願いとは数字の積めのお願いです。MRが数字を詰める場合にはMSに許可を取る必要があります。場合によっては「詰めないでくれ」と断られるケースもあります。
詰める作業って非常にトラブルに繋がりやすいです。特にMSとのトラブルが多いです。
MSはMRから頼まれて数字を詰めることを大抵の場合よく思っていません。詰めのお願いは精神的にも辛い仕事です。
これが結果的には原因でした。結局このお願いをされたこと自体をMSがよく思っていなくてそのはらいせに別の会社の併売品を納入したということでした。
このMSは「MRからお願いされること」=「自分がMRより弱い立場である」と感じて怒ってしまったと僕は考えています。
実際にはそんなことはないですが言葉の捉え方は人それぞれです。MRよりMSの方が弱い立場ってことはありません。しかもお願いされただけで弱い立場に感じるとかどんだけめんどくさい人なんだとこの時思いましたね。
僕は最初その説を信じられませんでした。というか信じたくなかったと言うべきでしょうか。
このMSは得意先にとても強いので協力してもらえるように僕もかなり卸活動に力を入れて取り組んできました。
そして活動の結果少し僕のことを信頼して頂けている状況でした。かなり頑張ってきただけにショックも大きかったことを覚えています。
関係性というのは築くのはすごく時間がかかりますが崩れるのは一瞬です。これを身をもって体験しました。
なぜ起きたのか
僕が単独であるお願いをすればおそらくこんなことは起きなかったと思います。ここで注目して頂きたいのは上司の存在です。
上司から出た指令というのは基本的には会社の場合従わなければなりません。ただ中には上司の指令を受け入れるとどう考えてもまずいケースに発展してしまうようなこともあります。
そこで僕はこのようなケースにならないように適宜話し合いをしてトラブルを防いできました。しかし今回ばかりは上司を説得することができず最悪の結果になってしまいました。
上司もかつてはプレイヤーとしてMRをしていたのでこのような事態には通常なりません。しかし期末という時期と上司の焦りからこのような事態になってしまいました。
MSも期末はいろんなメーカーから数字をお願いされたり自分の数字を管理しないといけないので余裕は特にありません。メーカーも同様です。
さらにこの施設は元々お願いができません。それにも拘わらず上司は僕の意見に全く耳を傾けずにお願いにいってしまったのです。
余裕がないと冷静な判断ができなくなり考える前に行動してしまいます。普段は話し合えばこんなことにはならないのです。そしてMSも通常であれば併売先のメーカーの製品を納入したりしないのです。
MSがメーカーからお願いされることなんて日常茶飯事です。その程度でメーカーを変えていたら本来の仕事が十分できません。これにプラスしてMSも薬局に強くなければ併売先を納入することはできません。
一つの出来事が悪い方向へ連鎖すると想像もできないようなトラブルを引き起こしてしまいます。まさに負のスパイラルとはこのことだなと思いました。
結局のところ全ての原因は余裕がないことです。
余裕がないと相手に対して攻撃的になってしまったり悪いように伝わってしまったりします。何事にも余裕を持つことは重要です。
原因を調べているとき
起きてしまったことは変わりようのない事実です。だから事実からそのできごとの詳細を探偵のように調べるスキルは営業では大事です。
なかなか原因がわからなかったときにふとコナンのセリフが頭に浮かんだのです。これかと。
まとめ
経験というのは大事です。僕も今回のケースから学んだことは数多くありました。この期はなんとか他でカバーして達成することができましたが、来期の準備がほとんどできなかったため来期も辛かったです。
うまくいっている時は余裕もあるのでさらにうまくいきます。逆に余裕のない時は考えている時間も十分にないためミスも起きやすいということは間違いないのかなと思います。経験は頼りになりますね。
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