今回は「相手のことを知る」という目的の会話について書いていきます。
普段から会話をする機会は多いですが営業における会話は普段の会話とは少し異なります。
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営業における会話の特殊性
営業で顧客と会話をする目的はいくつかありますが僕は相手の考え方を知ることが一番の目的であると考えています。
他にも自分を知ってもらうために会話をしたり、単純に会話をすること自体が楽しいから会話をしたりもします。ただ、自分を知ってもらっただけでは商品は売れないですし、楽しい会話をしたとしてもやはり商品は売れません。(これらのことは営業では必要なことです)
従って営業での会話には相手の考え方を知るという明確な目的があるということは知っておいてくださいね。(ただ面接のようにダイレクトに聞いてもなかなか相手の情報は引き出せないのでナチュラルな会話の流れが必要になります)
普段、話している時にこんなことは考えないと思いますので、営業における会話は特殊です。
MRは治療方針を会話から掴む
相手の治療方針を知ることは大事なことです。同じ疾患でも先生によっては治療方法が異なりますし、使用する薬剤への考え方も違います。
僕がMRをやっていて一番驚いたことがこの治療方針の違いです。
それぞれが選り取り見取りの治療方針を持っているので「同じ疾患でもこんなに治療方法は違うのか」と思いましたね。一つの薬に対していろんな評価がありますし、使い方も結構違います。
だから日々様々な研究データが発表されるわけですね。
従って、自分が担当している先生の治療方針は確実に把握しておかなければなりません。
そこで、治療方針を伺う際に役に立つ聞き方をご紹介します。準備するものは疾患の治療薬一覧です。
もちろん自分が営業する製品の疾患のもので大丈夫です。
例、糖尿病の薬剤をこれから営業したいなら糖尿病の治療薬の一覧を持参してください。
これを持参して「こちらが治療薬の一覧ですので、ぜひ診療の際に使ってください」と言って渡します。
ただ渡すだけではもったいないので、同時に「この中でよく使用する薬剤はなんですか」と聞きます。
答えが返ってきたら、次に確認するのが使用理由です。
よく使用するということはそれなりの理由がありますのでしっかりと聞いておいてください。
一般的にファーストチョイス、セカンドチョイス、サードチョイスまでは聞いておいてくださいね。
同じ系統の薬剤でも一種類だけを使用しているということはほぼありえないです。
3種類は把握しておいてください。(患者さんによっては効き目が弱かったり、副作用がきつかったりと結構個人差が出るので何剤か準備しているのがオーソドックスです)
この一連の流れを解説すると
まず治療薬一覧を渡すことで、「相手が薬を選びやすくなる」という狙いがあります。
何も提示せずに質問しても僕の経験からあまり良い返答が返ってこないことが多いですね。(料理を頼む際にメニューを見ながらの方が頼みやすいのと同じです)
また、相手にとってこちらは治療薬一覧を提供しているので、その対価として、使用薬剤を聞くという狙いもあります。
なにも提供せずに情報だけを取るのは営業では成功率が低いです。必ずギブすることを忘れないでくださいね。
個別に評価を聞く場合
新薬が出た場合や、大規模なエビデンスが出た場合などでは個別に薬剤の評価を聞きたいケースがあると思います。
そのような場合では、聞きたい薬剤に関する情報を提供してから相手の意見を伺うようにしてください。
この方法を使うことで自然な流れで相手の考え方を知ることができます。
話題性がある情報は非常に好まれますので、スピードを意識して情報提供してくださいね。
注意点
相手の考え方を知るという目的で会話をすると不自然な会話になってしまったり、相手にとって失礼な質問をしてしまうことがあります。
従って、相手の考え方を知ることはリスクもあるということは知っておいてください。
実際に僕もよく使用する薬を聞こうと思い何も考えずに質問した結果「なぜそんなことを言わなければならないのか」と少し雰囲気が悪くなってしまったことがあります。
また、適当な返答をされて話題をそらされてしまったり頑なに治療方針を教えてくれないケースもあります。
これは相手がこちらのことを信頼していないためです。見ず知らずの人に自分の情報をペラペラと話す人は少ないと思います。
従ってある程度話ができるような関係性は最低限築かなければなりません。
説明会や講演会などのイベントの際に聞く
相手の考え方を知るチャンスは通常の面会以外にもあります。
説明会の際にもこちらのプレゼンが終わったら聞くチャンスはありますし講演会に参加して頂けたならばそのお礼に訪問した際に聞くこともできます。
このようにチャンスは結構ありますので自分がどんな情報を手に入れたいのかを整理しておく必要があります。
これをやっておければ常にアンテナを張ることができるのでオススメです。
会話のコツ
会話をうまく繋げるコツは
- 関連性を大切にする
- 相手が突っ込んでくる箇所をあらかじめ用意する
- 全ては話さない
- 自分が話すことは短めにして相手に振る
僕が意識している点はこの4点です。
関連性を大切にする
会話は自分だけが話していては成り立ちません。
また相手の話した内容とこちらが話す内容がかけ離れていても会話は続きません。
だから、相手の話した内容と関連していることをこちらも話す必要があります。
例えば、ラーメンの話をしているのにいきなりゴルフの話になったら意味がわからないですよね。
相手が突っ込んでくる箇所をあらかじめ用意する
こちらが話す内容によっては相手が話しにくかったり、「へーそうなんだ」で終わってしまうことがあります。
これではただの報告になってしまい会話とは言えません。
そこで、相手に突っ込んでもらえるようなポイントを自分が話す内容に作ります。
例えば、「最近寒いので、コートを買いました」と話したなら相手は「どんなコートを買ったの?」と質問してくれます。
これで会話が成り立ちます。
ただ、相手がこちらが話した内容に興味を持たないとどんな話題でも質問してくれません。
この例で解説すると「へーそうなんだ」で終わってしまう可能性もあります。
従って、相手の興味がある話題を話すことは会話では重要ですね。
仮に相手の話した内容が自分にとってあまり興味がない内容だとしてもそれなりに会話を続ける力が営業では求められます。
僕もあまり興味のない話をたまに長々とされますが、つまらないことが相手に伝わらないようにうまく相槌と質問をしながら聞いています。
聞いていることをアピールする相槌と、興味があることをアピールする質問は重宝しています。
全ては話さない
1から10まで事細かく話してしまうとどれが大切なポイントなのかがわからなくなりますし、相手の聞く気を奪ってしまいます。
従って、話す際には全ては話さずに自分が伝えたい内容に絞って話すようにします。
長い話は聞いていて疲れますし、話す意味がないですね。
意外と自分が思っているよりも話していますので、少し話足りないくらいが僕はちょうどいいと思っています。
営業では自分が話すよりも相手に話してもらうことの方が重要ですので、話し過ぎないようにしましょう。
自分が話すことは短めにして相手に振る
この方法はシンプルですが、かなり使えます。
いきなり質問だけしてもこちらの意図が伝わりにくかったりしますので、少しこちら側が話すことは必要です。
例えば、「最近◯◯の治療薬が注目されていますが、ご印象はいかがでしょうか」
こんな感じで、前振りを話して相手に話題を振っていきます。
これを使えば大抵の場合相手は話してくれます。
会話の主導権を握る
会話をこちらが意図した流れにするにはこちら側が会話の主導権を握ることが大切です。
基本的に面会はこちら側から話すので、会話の主導権は握りやすいと思います。
会話も自分の得意のフィールドで勝負できれば相手のことをたくさん知ることができます。
相手が他の話題に変えたとしても話題を戻したりする必要があります。
そのためには相手が話した内容をうまく拾っていくことが必要です。
話をうまく広げられないと会話が終わってしまったり、相手に会話の主導権を握られてしまうので、うまくポイントを拾っていきましょう。
こんな場面では仕事の話は控える
営業で大切なことは仕事の話ばかりしないということです。たまには仕事以外の共通の話題や相手の興味のあることを話しましょう。
僕の経験上「相手は興味があるが、自分はあまり興味がない話題」は避けた方がいいですね。
自分が興味がないとどうしても会話が盛り上がらないので、なるべく自分も興味がある話題にした方がいいと思います。
あとは、相手の興味のあることを自分もやってみることです。
僕もMRになって、新しく興味を持ったことは非常にたくさんあります。
これもMRの仕事だと思いますので、辛くならない程度に頑張ってみてくださいね。
そうすれば会話には困らなくなります。
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